ドラマ「花燃ゆ」-7 [ドラマ]
ドラマ「花燃ゆ」第7話「放たれる寅」を観た。
野山獄で唯一の女囚:高須久子(松陰の12歳年上)を妖艶に井川遥さんが美しく演じておられる。松陰に浮いた話が無い中で唯一恋をしたのでは?とされる女性である。
「高須未亡人に 数々のいさをしを ものがたりし跡にて」 と前書きして松陰が高須久子に贈った和歌
清らかに 夏木のかげに やすらえど 人ぞいふらん 花に迷えど
そして、野山獄から出ることになった松陰に、囚人一同が開いた送別句会での久子の句
鴫(しぎ)立つて あとの淋しさの 夜明けかな
※松陰のあざな:「子義」
松陰はこれから松下村塾で教えることとなるが、江戸で斬首刑になる前にもう一度、野山獄に収監される。その時、久子と再会してまた別れるというより、永遠の別れである。
久子が松陰に贈った句
手のとはぬ 雲に樗(おうち)の 咲く日かな
※樗(おうち)とはセンダンという庭木
それに対する松陰の返し句
一声を いかで忘れん ほととぎす
久子は死の行脚に旅立つ松陰に餞別に自ら手縫いした手布巾を渡す。
そして、「高須うしに せんべつとありて 汗ふきを送られければ」と前書きして
箱根山 越すとき汗の 出でやせん 君を思ひて ふき清めてん
二人がやりとりした和歌や俳句は公式に残っているのはこれぐらいだが、恐らく獄中時代の一年間、様々な歌のやりとりがあったと想像する。二十一猛士:松陰先生も男、身分の高い武士高須家の後家さんとの恋は許されなかったであろうが、心の中ではお互いに想い逢っていたのかもしれない。まさに純愛に生きた御人である。