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映画「阿弥陀堂だより」 [映画]

2002年公開の邦画「阿弥陀堂だより」を観た。

監督は「雨あがる」の小泉堯史(たかし)氏、この作品で阿弥陀堂を守るおばあちゃんが日本アカデミー賞助演女優賞、映画初出演の小西真奈美が新人俳優賞を受賞している。

多くの人の死を看取って来たエリート医師(樋口可南子)が精神的な病を患い、夫で新人賞を取るもその後、鳴かず飛ばずの小説家(寺尾聰)の故郷、長野県で癒しの生活を始める。阿弥陀堂を守りながら生活する90代のおばあちゃんの言葉が村の広報誌に「阿弥陀堂だより」というコラムに載る。そのコラムを書くのが病気で話すことの出来ない女性(小西真奈美)である。

そのコラムが心に染み入る。


【阿弥陀堂だより】

目先のことにとらわれるなと世間では言われていますが、春になれば、ナス、インゲン、キュウリなど。

次から次へと苗を植え、水をやり、そういうふうに目先のことばかり考えていたら知らぬ間に96歳になっていました。

目先しか見えなかったので、よそ見をして心配事を増やさなかったのがよかったのでしょうか。

それが長寿の秘訣かもしれません。


【阿弥陀堂だより】

畑にはなんでも植えてあります。

ナス、キュウリ、トマト、カボチャ、スイカ…。

そのとき体が欲しがるものを好きなように食べてきました。

質素なものばかり食べていたのが長寿につながったとしたら、それはお金がなかったからできたのです。

貧乏はありがたいことです。


また、宮沢賢治の有名な詩が紹介されるが、まさにこの映画を象徴している詩である。


雨にも負けず 風にも負けず 雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫なからだをもち 欲はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている 一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ あらゆることを 自分を勘定に入れずに よく見聞きし分かり
そして忘れず 野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて 東に病気の子供あれば 行って看病してやり 西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い 南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい 北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい 日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き みんなにでくのぼーと呼ばれ 褒められもせず 苦にもされず そういうものに わたしはなりたい

http://www.amidado.com/index.htm

生きることとは、死ぬこととは、ご先祖さま、夫婦とは…キャッチコピー【忘れていた、人生の宝物に出逢いました】の通りのいい映画でした。

阿弥陀堂だより [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
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