コミック「うせもの宿」 [コミック]
コミック「うせもの宿」(穂積 作、小学館)①②③を読んだ。非常に考えさせられる内容であった。というのも・・・
その宿に行けば、失くしたものが必ず見つかる。大切な物であり、記憶であり、人であり・・・
しかし、その門をくぐる者は「あの世」であり、死者として今世の失くしたものを見つけて旅立っていくのである。
「この世」があれば「あの世」があってもおかしくない。昼があれば夜があるように表裏一体なのかもしれない。
私はあの世で迷わず生きていけるのだろうか?そんな生き方をこの世でしているのだろうか?ふとこの世でも「私は何のために生きているのだろうか?」と迷ってしまうことがあるから、難しいだろうなぁ・・・
序盤は1話完結の話で、さまざまな今生に未練のある人たちの「失くしたもの」探しの話で、中盤は「うせもの宿」でお世話をする人たちの話になり、後半は「うせもの宿」の女将さん(といっても小学生ぐらいの女の子)と宿までの道先案内人の話になる。後半はひとつの映画でも観ているかのような展開で、感動した。ドラマ化や映画化されると面白いなぁと思う。
「死生命有り 富貴天に在り」
作中に論語の一節が出てくるのだが、まさにこの通りの内容である。同級生がもう既に何人も亡くなっているが、生きるも死ぬも恐らく「天寿」というものが決まっているのかもしれない。その中で個人の小さな努力で少しだけ、寿命を伸ばしたりすることが出来るのかもしれない。五十歳生きようが、百歳まで生きようが、地球にとってみれば五十歩百歩なのではなかろうか?それでも命ある限り、努力して目の前の探し物を見つけ、あとは天にお任せ・・・といったところだろうか?
大事なものに気付かせてもらえるいい漫画でした。