映画「半落ち」 [映画]
横山秀夫原作の「半落ち」の映画を観た。
原作は2003年週刊文春推理小説ベストテン第1位、映画は2005年日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞している。
「半落ち」とは警察用語で完全自供の「完落ち」に対して、一部自供したという意味。故に半分は謎のまま。ただし、映画を観ている側は全て分かるので、その半分が深い内容である。
有能な刑事だったが、白血病で息子を亡くし、その後、妻がアルツハイマー病で壊れていく。妻の介護の為、教官に異動。その妻に乞われて妻を殺害という嘱託殺人を犯す。しかし、自首したのは三日後。その空白の二日間に何があったのか?が焦点となる。
「大切な何か」を守ろうとして半分しか自供しない(半分嘘をつく)。
その謎を追求しようとする刑事、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官それぞれにも「大切な何か」を抱えており、妥協していく。
セリフが少ない主人公だが、顔の表情や間で対峙する刑事や検察官や弁護士、裁判官と沈黙のバトルと駆け引き。
日本映画らしい作品で監督は山口県出身の佐々部清氏。この作品で主演の寺尾聰氏は日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞している。
人にはそれぞれ他人には言えない秘密というか、半分がある。大切な何かを守るためにはそれも必要なことである。
一点に様々な背景が幾重にも織り重なっていく「横山秀夫」の世界。私自身、サスペンスものは、人が死ぬからあまり好きでは無かったが、人間の色々な感情があらわになるので面白い!と感じた。今年はこれをきっかけに「サスペンス」もの鑑賞に挑戦してみようと思う。遅ればせながらであるが、新たな世界を見せてくれた原作者「横山秀夫」氏や製作陣に感動である。日本映画って本当に素晴らしい!
侘(わ)び寂(さ)びと間合いを大切にしたいものである。