やまぶき [教育]
先日、実家の農業を手伝って、最近咲いた白い「やまぶき」をJAの100円市に出荷した際の出来事です。80歳代の白髪のおばあちゃんがヘルパーの人に連れられて買い物に来られた。
おばあちゃん「これは何ていう花?」
私「これは白いやまぶきです。やまぶきは黄色が知られていますが、白いのもきれいでしょう?」
おばあちゃん「太田道灌(どうかん)ね!」
私「え?太田道灌というあだ名の人は知っているのですが、詳しいことは知らないんです。教えてください」
おばあちゃん「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに 無きぞ悲しき」
おばあちゃん「私が小さい頃学校で習ったのよ!今でも覚えているわ」
20代の女性ヘルパーさん「おばあちゃん 私は習ったことがないわ」
私「私も習ったことないです。それにしてもおばあちゃんすごいですね!小さい頃のことはっきり覚えているなんて!勉強になりました!」
おばあちゃん「この白いやまぶき一つちょうだい!」
私「ありがとう!おばあちゃん!」
売上100円以上の感動をいただいた!
帰ってこのことを60代の母に伝えると、先の和歌がすらすらと出てきて解説までしてくれた。
太田道灌(江戸城を築城)が急の雨に降られて農家の娘に蓑(みの:今でいうカッパ)を借りようとしたところ、その娘は一輪のやまぶきを差し出したという。道灌は訳がわからず雨に濡れて帰った。そこで・・・
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞあやしき」という歌が昔の和歌集にあることを知り「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに 無きぞ悲しき」とかけて「うちは貧しくてあなた様にお貸しするみのもありません」いう意味だったことに感動したという話。やまぶきは実がならない花なので「実がない」→「蓑(みの)がない」という返答だという。江戸時代、なんと農村の娘までも学があるではないか?しかも江戸城を建てた人よりも和歌に詳しい。しかも貧しい返答の歌をストレートに詠むのではなく、「やまぶき一輪」で全てを語る・・・なんとも奥ゆかしい娘!というより日本人の感性の深さ。
この感性を現代の日本人は継承しているのだろうか?
やまぶき色という絵の具や色の名称があるぐらい微妙な黄色が小さい頃好きだった事(図画の時間が大好きで、宿題で何をやってもいいという日には海が見える山に一人入って書いていました。)を思い出しました。
by はるかぜ (2007-05-08 09:47)