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死なないと治らない [社会]

私の持論「人間死なないと治らない」というのがある。

例えば、頑固とか、批判する癖とか、責め心とかである。

私の中では昨年の3月11日に日本人は一度死んだものだと思い込んでいる。

それ以降も過去の自分のままだと何も学んでいないし、本当に死なないと治らないと思う。

常日頃そう思って1年が経過したが、死なないと治らない周囲の人を見ていたところ地元の面白い昔話に遭遇した。

例えが違うかもしれないがご参考までにご紹介しよう。


へそ曲がり銭平

 むかしむかし、周防の山里に銭平というじいさんが、住んじょった。銭平じいさん、右と言えば左、上と言えば下と言い、相手がいやな顔をすると喜ぶ。それで村のもんは「へそ曲がり銭平」と、言うちょった。

 ある年の節分の日のこと。

 「鬼はーそとー、福はうちー」どこの家からも、豆まきの声がした。

 「ありゃっ。豆まきの声がするどー。けったくそがわりい。ようし、みとれー、わしもやる」

 銭平じいさん、大きな声を張り上げて、豆をまき始めた。

 「鬼はーうちー、福はーそとー。えへへ・・・どうじゃい」

 そのとき、戸口からドシンドシンと、大きな音がした。

 「おおっ!」

 なんと、赤鬼と黒鬼が入ってきて、いろりの前にどっかりと座り込んだ。

 「じいさま、聞いたで、聞いたで。『鬼はうち 福はそと』節分の日に、ようわしらを呼んでくれたのう」

 「今日はどこへ行ってもわしらに豆を投げつける。このとおり傷だらけじゃ。それになぁ・・・腹ペコじゃあ」

 銭平じいさん、腰が抜けるほど、びっくりしたが「よう来んさった」と、節分の祝い酒や食べ物を並べ、仲良う、たらふく食べて飲んだ。そのうちに鬼たちは踊り出した。

 ♪銭平じいさん 赤鬼 黒鬼 招いてくれた ♪鬼はうち~ぃ 福はそと~ぉ あ~ うれしやの~ たのしやの~♪

 それからしばらく経ったある日、銭平じいさんは風邪がもとで、ぽっくりと死んでしもうた。

 銭平じいさんは、六文銭を持ってとぼとぼと三途の川まで歩いていくと、渡し船の船頭に震えながら言うた。

 「わしゃあ、地獄と極楽、どっちへ行くんじゃろうかいのう」

 「そりゃあ、生きちょる時の行い次第じゃのう」

 川を渡ると。そこで婆が言うた。「お前は、しゃばにおる時はへそ曲がりで、人の反対ばかりして楽しんじょった。許せん。地獄行きじゃ」

 銭平じいさんは仕方のう、とぼとぼと地獄の方へ歩いて行った。

 そこで待っちょったのは、えんま様と鬼どもじゃった。

 「お前は、人の嫌がることばかりしてきた。じゃによって、釜ゆでの刑じゃ!」

 銭平じいさんがしょんぼりとしていると、地獄の釜へ入れるために赤鬼と黒鬼が、じいさんのそばにやってきた。

 「あらゃっ、節分の夜に世話にあんった銭平じいさんじゃ!」

 「あの時は世話になったのう。嬉しかったでぇ。ようし、今日はあの時のお礼をさせてもらいますでぇ。わしらの言うとおりにしてくだせぇ。悪いようにはせんけぇ」

 赤鬼と黒鬼は、片目をつぶって合図をすると、じいさんをそっと抱えて釜に入れた。

 「ウォッホッホッホ、こりゃええ湯じゃのう。まるで、温泉に入ったみたいじゃあ」

 じいさんが喜ぶと、えんま様は怒り出した。

 「ええい!いまいましい。煮え湯を飲ませぃ」

 赤鬼と黒鬼は目配せして、酌をじいさんに渡した。じいさんが、おそるおそる飲むと、それはうまい熱かんじゃった。

 「おっ!こりゃぁ酒じゃあ。うまい」

 酔っ払ったじいさんは、歌って踊り出した。

 ♪地獄の底は ええとこと わしゃ いついつまでも ここがええ♪

 えんま様は、あっけにとられて見ていたが、そのうちカンカンに怒り出した。

 「地獄がええとは、けしからんやつじゃ。しゃばにかえれ~!」

 地獄から蹴り出された銭平じいさんは、冷たい風にあたって、息を吹き返した。

 「ありゃっ。わしゃー、あの世から戻ったみたいじゃ」

 そして、考えた。

 「鬼さへも恩を忘れずに、尽くしてくれた。わしは、今まで人が嫌がるのを見て喜んできた。親孝行も いっぺんもせなんだ。鬼に教えられた・・・。なんてことじゃ。そうじゃ!せっかく生き返ったんじゃから、これから迷惑かけたみんなに恩返しをしよう。鬼に顔向けができんでのう」

 それからは人が変わったように、朝早うから夜遅うまでせっせと働いて、困った人を助けて、長生きしたんだと。。。


(出典:Rally voice Jam vol.4 p.14「周南の昔ばなし」より)

私たちも赤子のように生まれ変わった気で素直にもう一度生き直しましょう!

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